2016年日本地理学会地理教育公開講座「ESDと地理教育の未来」を振り返る

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東北大学川内北キャンパスを会場に開催れた(公社)日本地理学会秋季学術大会に行ってきました。

今回の目的は、地理教育公開講座運営のお手伝いをすることです。東北地方内でお手伝いをするのは、岩手大学と福島大学での公開講座に続いて3回目となります。ちなみに、今回の公開講座は第30回という節目の大会でした。単純計算で15年続いていることになります。

第30回地理教育公開講座の内容

〔テーマ〕「ESDと地理教育の未来」

〔講 演〕由井義通(広島大):IYGU(国際地球理解年)とESDとの連携

〔提 案〕吉田 剛(宮教大):諸外国地理カリキュラムにみる持続発展に関わる地理的概念

〔コメント〕
及川幸彦(日本ユネスコ国内委員会):ESD教育 行政とユネスコスクール,地理教育
池下 誠(練馬区立大泉西中):ESD地理授業の可能性

〔意見交換〕

〔総 括〕井田仁康(筑波大)

地方大会の場合、どうしても参加者が少なくなる傾向があるのですが、今回はたくさんの方々に参加していただくことができました。講義や提案、さらにコメンテーターの先生方がお話する時間が長くなってしまい、参会者の方々との意見交換をする時間があまり確保できなかったことが悔やまれます。

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公開講座をふりかえって

今回のテーマは「ESDと地理教育の未来」でした。地理学会での公開講座なので、地理学の枠組みの中で議論を進められればよかったのですが、テーマどおりにESDや教育制度の枠組みの中で話で完結してしまった点が心残りでした。

たとえば、

  • 地理学という学問の視点で考えた場合、ESDは単純に肯定できるものなのか?
  • ESDが題材として取り扱う社会問題が内包する地理的な特性(現象内部にある「領域性」や「空間の包摂」等に関する議論によって明確化されるべき事項)について地理学はどう答えるのか?
  • ESDを推し進めなくてなならいないような状況を作り出した原因(その空間的な要素)は何なのか?

などについて、もう少し議論する時間があれば、地理学会における公開講座としての意味がさらに高まったように感じます。

そして、そのことをもとにして、今後のESDや国際地球理解年の意義を再考することが求められているのだと思います。

公開講座の中で、ある先生が「特定の価値を注入することになるESDは社会科教育に相反する存在と考えられてきた」というニュアンスのことを話されました。

この指摘は、社会科教育という枠組みの中でESDを実践する場合に忘れてはいけないことだとも感じました。

対処療法的な学習になってしまいがちなESDですが、それが取り扱う課題に背景にある構造的な問題が持つ空間的な側面をきちんと整理した上で、地理的な概念と結びつけながら学習内容を組み立てていくことも必要だと考えます。

とにかく、いろいろなことも考える機会を与えられた地理教育講座でした。

来春は3月29日に筑波大学で開催の予定です。

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