シンポ「地理授業から防災復興教育へ」に参加して考えたこと

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全国地理教育学会第12回例会「宮城例会」に参加してきました。今回の例会は、「地理授業から防災復興教育へ」というテーマで行われたシンポジウムでしたが、100名以上の参加がありました。

実は、僕はこれまで全国地理教育学会の会合に参加したことがありません。会場が宮城県ということで全く知らない人ばかりというわけではありませんが、初めての学会参加はなんとなく緊張します。

受付をして会場に入って席についた後、どんな方々がいるのかと辺りを眺めました。そしたら、見覚えのある人が後方に座っていることに気づきました。なんと、山形県内の社会科教育ではよく知られている小学校の先生でした。

ほとんどお話をしたことがなかったのですが、開会まで時間もあったので話しかけてみました。学生の時は経済学を中心に勉強なさったそうですが、今は「地理」かなあという気持ちになっているとのことでした。また、この先生は東北地理学会会員になっていました。(^_^)

さて、このシンポジウムは次のような3部構成で行われました。
第1部 被災下の小中高大の教育現場におけるいり授業(発表)
第2部 教育行政や大学における教育実践(発表)
第3部 地理授業から防災復興教育hw(ディスカッション)

後日、学会としての公式記録も発表されることになると思いますので、詳しいことがそちらを見ていただくことにして、ここでは個人的な感想をメモしておきます。

まず、これからの地理教育の方向性を考えるという視点から第1部と第2部の発表内容を振り返ると次の2つのことが課題として見えてきました。

1)個人的な体験と場所性をめぐる問題
D.ハーヴェイやE.レルフらの議論をもとに整理する力はありませんが、不連続な空間認識や没場所性化する都市空間の問題などについても子ども達自身が目を向けるとともに、空間的認識における「具体」と「抽象」の対話とでも言えるような活動を地理教育として取り入れて行くことが求められていると感じました。

2)指導方法の問題〜「為すことによって学ぶ」
先日、日本とアメリカの高校教師が集まった研修会を伝える報道で、高校段階では未だに講義中心の授業が少なくないことを知りました。
しかし、今回の発表者に共通していたのは、フィールドワークやワークショップなどのアクティビティを取り入れた実践が行われていることでした。「為すことによって学ぶ」地理教育が求められているように感じました。
それぞれの発表をお聞きして感じたことをまとめると以上のようになります。

また、今回のシンポジウムは、地理教育の方向性について探ることが趣旨となっていました。しかし、1984年にアメリカで出版された地理教育ガイドラインが指摘するように、地理教育が「さまざまな事象が『どこで』『なぜ』起こるのかを理解」することに貢献する存在であることを考える場合、どこか物足りなさを感じるところもありました。

科学進歩が著しい現代社会において、人間は「位置」の違いによって生じる多くの問題を乗り越えて人工的な都市空間をつくりだせるようになってきています。しかし、経済的な問題を持ち出さなくても、「位置」の問題を乗り越えようとする活動は別の問題を生み出す場合が少なくありません。

今では半ば死語にもなりかけている「地理学的想像力」にもこだわりながら、これからの地理教育の在り方について考え続けていこうと思います。

*下の写真は東日本大震災で被災した名取市立閖上中学校の生徒が被災前に作成したハザードマップです。

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