Apple「Awe dropping.」イベント総括:噂されていた製品の一部は姿を見せず

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日本時間9月10日朝、Appleは年間最大のハードウェアイベント「Awe dropping.」を開催しました。クパチーノのApple Parkで行われたこのイベントは、主にモバイルデバイスに焦点を当てた8つの新製品を発表しましたが、事前に噂されていた製品の一部は姿を見せませんでした。

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発表された主要製品

iPhone 17シリーズ:4モデル展開で革新的デザイン

今回のイベントの目玉は、やはりiPhone 17シリーズでした。Appleは4つのモデルを発表し、それぞれが異なるユーザー層をターゲットにしています。

iPhone 17 Airが最も注目を集めました。厚さわずか5.6mmという驚異的な薄さを実現し、「史上最も薄いiPhone」として位置づけられています。6.5インチSuper Retina XDRディスプレイを搭載し、48MPのシングルカメラシステムを採用。A19 Proチップを搭載しながらも、極限まで薄くするためにeSIM専用となっています。

iPhone 17 / 17 Pro / 17 Pro Maxは、従来のラインナップを踏襲しつつ、重要なアップグレードを実施しました。特に注目すべきは、全モデルで120Hzリフレッシュレートを標準搭載したことです。これまでProシリーズ限定だった機能が、標準モデルにも展開されました。

Proシリーズでは、5年ぶりにカメラモジュールが刷新され、トリプル48MPカメラシステムと8倍光学ズームを実現。新しいCeramic Shield 2による耐久性向上も図られています。

Apple Watch:全ラインナップ刷新

Apple Watchシリーズも大幅にアップデートされました。

Apple Watch Series 11は、新しいS11チップを搭載し、高血圧検知機能が追加されました。この機能は、30日間の脈波データを分析し、継続的な高血圧パターンを検出してユーザーに通知する革新的なヘルスケア機能です。ただし、日本のプレスリリースにはこのことに関する記載がありませんでした。残念ながら日本ではすぐには利用できないようです。

Apple Watch SE 3Ultra 3も同時に発表され、それぞれS11チップを採用しています。Ultra 3では特に耐久性とバッテリー寿命が強化され、アウトドア活動向けの機能が拡充されています。

AirPods Pro 3:ヘルスケア機能の進化

AirPods Pro 3は、音質向上に加えて新しいヘルスケア機能が注目されました。心拍数センサーを内蔵し、50種類のワークアウトを追跡できるようになりました。また、ノイズキャンセリング性能が前世代の2倍に向上し、新しいフォームイヤーチップが5サイズ展開されています。

リアルタイム翻訳機能も搭載され、異なる言語を話す人同士がAirPods Pro 3を通じてコミュニケーションを取れるようになりました。

姿を見せなかった製品たち

事前のリーク情報や業界の期待とは異なり、いくつかの製品は今回のイベントで発表されませんでした。

AirTag 2:4年越しの待機継続

2021年に初代AirTagが発表されてから4年が経過し、多くのユーザーがAirTag 2の発表を期待していました。事前の報道では、改良されたUWB(Ultra Wideband)チップによる追跡範囲の拡大(15mから60mへ)、防犯対策の強化、Vision Proとの統合機能などが噂されていました。

Mark Gurmanをはじめとする信頼性の高い情報筋も、2025年秋のリリースを示唆していましたが、今回のイベントでは言及されませんでした。

iPad Pro M5:10周年記念も空振り

特に興味深いのは、iPad Pro M5の不発表でした。2025年9月9日は、初代iPad Proが発表されてちょうど10周年という記念すべき日でした。直前まで複数の情報筋がM5チップを搭載した新型iPad Proの発表可能性を示唆していましたが、結果的に見送られました。

iPad Proは通常、新しいMシリーズチップを最初に搭載する製品として位置づけられており(M4も昨年のiPad Proで初登場)、M5チップの登場も期待されていました。

Apple TV(A17 Pro搭載):ストリーミング体験の進化は持ち越し

現行のApple TV 4KはA15 Bionicチップを搭載していますが、A17 Proへのアップグレードも噂されていました。A17 ProはApple Intelligence機能をサポートしており、より高度なストリーミング体験やゲーム性能の向上が期待されていました。

その他

  • Vision Pro(M5搭載):第2世代Vision Proの発表も噂されていましたが、今回は見送り
  • HomePod mini第2世代:スマートホーム関連製品の強化も期待されていました

ソフトウェア:iOS 26とLiquid Glassデザイン

ハードウェアと併せて、iOS 26をはじめとするソフトウェアの正式リリース日も発表されました。新しい「Liquid Glass」デザインを採用したiOS 26、watchOS 26、tvOS 26、visionOS 26は、日本時間で2025年9月16日午前2時頃から配信が開始される予定です。

市場への影響と今後の展望

今回のイベントは、Appleがモバイルファースト戦略を継続していることを明確に示しました。iPhone Airの超薄型デザインは、新たな市場セグメントの開拓を狙ったものと見られます。

一方で、期待されていた製品群の不発表は、Appleの製品開発スケジュールがより慎重になっていることを示唆しています。特にAirTag 2やiPad Pro M5は、年内の別イベントで発表される可能性が高く、10月や11月の追加発表が期待されます。

Apple Watchの高血圧検知機能は、同社のヘルスケア戦略における重要な一歩であり、今後の医療機器認証や他の健康監視機能の拡充につながる可能性があります。

まとめ

「Awe dropping.」イベントは、Appleの技術革新と市場戦略の両面を見せる興味深い内容でした。発表された8つの新製品は確実に市場に影響を与えるでしょう。しかし、期待されていた製品もあったため、Appleファンにとって少々物足りない結果だったかもしれません。

今後数ヶ月間で、これら「姿を見せなかった」製品がどのタイミングで発表されるか、業界の注目が集まっています。特に年末商戦に向けて、Appleがどのような追加発表を行うかが焦点となるでしょう。