今朝、Xの最高経営責任者(CEO)リンダ・ヤッカリーノ氏が、自身のXアカウントで退任の意向を表明したということをテレビニュースが伝えていました。Xが“広告企業”から“AI企業”へと脱皮する過程のようにも感じています。
さて、ここからは気になるAppleの話です。
2025年7月8日、AppleはCOO(最高執行責任者)を務めるジェフ・ウィリアムズ氏の退任を正式に発表しました。ウィリアムズ氏は長年にわたりAppleの事業運営を支え、ティム・クックCEOの後継候補としても広く知られてきた人物です。
この発表を受けて、多くの関係者は「COOが次期CEO候補となる」という従来の流れが今後は変わっていく可能性を感じています。新たにCOOに就任したのは、サプライチェーン部門を長年統括してきたサビ・カーン氏です。今回の人事は、Appleも経営体制が次の段階へと移ろうとしていることを示しているように思えます。
AppleのCOO職とその歩み
COOという役職が果たしてきた役割
AppleがCOO職を明確に設けたのは、スティーブ・ジョブズ氏が復帰した1998年以降のことです。経営再建の一環として、製造や物流を含む業務全体の効率化が求められる中で、この役職の重要性は急速に高まりました。
ティム・クック氏の功績と時代
2005年にCOOに就任したティム・クック氏は、Appleのサプライチェーンをグローバルに最適化し、製品の安定供給体制を整えました。この取り組みによって、iPodやiPhone、iPadなどの人気製品を大量に供給できる体制が築かれ、Appleの成長を支える土台となりました。
ジェフ・ウィリアムズ氏の時代に見られた拡張
2015年からCOOを務めたジェフ・ウィリアムズ氏の時代には、その役割はさらに広がりました。彼はオペレーションだけでなく、Apple Watchやヘルスケア関連事業、さらにはデザイン部門の統括も担いました。ウィリアムズ氏の手腕により、製品開発と運営管理が密接に連携する体制が整い、Appleの総合力がさらに強化されていきました。
サビ・カーン氏の就任とこれからの方針
2025年にCOOに就任したサビ・カーン氏は、これまで長くサプライチェーン部門を担当してきた人物です。今後はCOO職が製造・物流・サステナビリティといったオペレーション分野により特化することになります。デザイン部門はティム・クックCEOの直轄となり、役割分担が明確化されることで、専門性と効率の向上が期待されています。
時代ごとに変化してきたCOOの役割
時期 | COO氏名 | 主な役割と特徴 |
---|---|---|
1998年〜2005年頃 | ティム・クック氏 | サプライチェーン改革や製造体制の最適化を推進 |
2015年〜2025年 | ジェフ・ウィリアムズ氏 | オペレーションに加え、Apple Watchやヘルスケア、デザイン部門も統括 |
2025年以降 | サビ・カーン氏 | 製造・物流・環境対応に特化し、デザイン部門はCEOの直轄となる |
変化するCEO後継者選びのあり方
今回のCOO交代は、単に業務の引き継ぎを意味するものではなく、Appleにおける経営陣の選定基準にも変化が訪れていることを示唆しています。これまでのようにCOOが自動的にCEO候補となるとは限らず、今後は製品戦略や技術、サービス分野に精通した人物、あるいは社外からの起用も視野に入る可能性が高まっています。
このような柔軟な人事方針は、変化の激しいIT業界において組織としての適応力を高め、革新を継続していくうえで重要な意味を持つでしょう。
Appleが見据える次のステージ
Appleはこれから、経営体制の見直しと同時に、地球環境への配慮や製造拠点の多様化など、グローバルな課題に対応する力も一層求められていきます。
米中関係の緊張や政治的な介入などのリスク回避のために、Appleは中国に依存しているサプライチェーンを再構築する必要が出てきました。また、AppleはCO₂排出量60%削減など、環境対応を強化中です。
カーン氏は米国内の製造拠点拡大や環境対応に実績があり、今後のグローバル戦略に適任今回の人事をきっかけに、Appleの経営はさらに高度で持続可能なものへと進化していくことが期待されています。
おわりに
ジェフ・ウィリアムズ氏の退任とサビ・カーン氏の就任は、Appleの経営体制における大きな転換点といえます。これは単なる人事異動ではなく、経営の方向性や企業としての価値観に変化が生まれるきっかけでもあります。
新しいCOO体制のもとで、どのような製品やサービスが生まれ、どのように企業文化が変化していくことになるでしょうか。これからのAppleの動きには引き続き注目していきたいところです。