2025年9月9日(現地時間)、Appleは年間最大のハードウェアイベント「Awe Dropping」を開催しました。このイベントではiPhone 17シリーズやAirPods Pro 3とともに、Apple Watch Series 11が大幅にアップデートされて発表されました。
最も注目すべきは、Apple Watch Series 11に搭載された高血圧通知機能です。この機能は、新しいS11チップと光学式心拍センサー、機械学習を組み合わせて、30日間の脈波データを分析し、継続的な高血圧パターンを検出してユーザーに通知する革新的なヘルスケア機能です。
Apple Watch Series 11の技術的な進歩
S11チップの特徴
Apple Watch Series 11には新しいS11チップが搭載されていますが、実際にはS9/S10と同じT8310アーキテクチャをベースとしており、大幅なパフォーマンス向上は見込めないとの情報があります。しかし、新しい健康機能や5G通信機能をサポートするために最適化されています。
デザインと機能面の改良
- 24時間バッテリー駆動:高速充電対応で15分の充電で最大8時間駆動可能
- 耐久性向上:アルミニウムモデルでは従来比2倍の耐擦傷性能を持つIon-Xガラスを採用
- 5G通信対応:セルラーモデルで5G通信に対応
高血圧通知機能の仕組みと革新性
技術的な特徴
Apple Watchの高血圧通知機能は、従来の血圧測定器とは全く異なるアプローチを採用しています:
- 光学式心拍センサーの活用:血管が心臓の拍動にどう反応するかを分析
- バックグラウンド動作:ユーザーが意識することなく自動監視
- 30日間のデータ分析:継続的な高血圧の兆候が見られた場合のみ通知
- 機械学習による高精度:10万人以上の研究データと高度な機械学習を組み合わせ
watchOS 26の新機能として提供
高血圧通知機能はwatchOS 26の新機能として提供されるため、新しいApple Watch Series 11だけでなく、以下の機種でも利用可能です:
- Apple Watch Series 9以降
- Apple Watch Ultra 2以降
- Apple Watch Series 10(watchOS 26にアップデート後)
これは、対象機種をお使いの方にとって嬉しいニュースとなります。
使用制限
この機能には以下の制限があります:
- 22歳未満の方
- すでに高血圧と診断されている方
- 妊娠中の方
これらの方々には使用を意図していない機能となっています。
日本での提供状況と課題
現在の状況
残念ながら、日本のプレスリリースやApple公式サイトには「高血圧通知機能」に関する記載が一切ありません。米国では2025年9月中にFDA(アメリカ食品医薬品局)の承認を得て、150以上の国と地域で利用可能になる予定ですが、日本での提供時期は未定です。
認可のハードルと時間
日本で高血圧通知機能がすぐに利用できない背景には、医療機器としての厚生労働省の認可が必要なことが挙げられます。光学式センサーを活用して間接的に血圧傾向を検出するこの仕組みは、日本では前例がない新しい技術です。
心電図機能の先例から見る展望
参考になるのが、Apple Watchの心電図(ECG)機能の日本での提供経緯です。この機能は、アメリカでの提供開始から約2年遅れて、2021年1月に厚生労働省の医療機器認可を取得し、日本でようやく利用可能になりました。
高血圧通知機能も同様のプロセスを経る必要があると予想され、心電図機能と同程度の期間、つまり1〜2年程度の時間がかかる可能性があります。。
まとめ
Apple Watch Series 11の高血圧通知機能は、ウェアラブルデバイスにおけるヘルスケア分野の大きな飛躍です。S11チップの搭載により、watchOS 26を通じて既存のSeries 9以降やUltra 2でも利用可能になる点は、多くのユーザーにとって朗報でしょう。
ただし、日本での提供には厚生労働省の認可が必要で、心電図機能の前例を見ると1〜2年程度の時間がかかる可能性があります。光学式センサーを活用した間接的な血圧検知という新しい技術だからこそ、慎重な審査プロセスが必要なのも理解できます。
今後のAppleと日本の規制当局の動向に注目しながら、一日も早い認可と提供開始を期待したいと思います。

