新聞を読んでいたら、「エシカル消費」という言葉に出会いました。文脈から判断すると「倫理的消費」と同じ意味でした。
「倫理的消費」という言葉を耳にする機会が増えていますが、使っているのは消費者運動に詳しい方々だけのような気がします。しかし、実践している人が少なくないと思います。
たとえば、車を購入する際にエコカーを選択したり、フェアトレードと呼ばれる公正な貿易によって適正価格で輸入されたバナナやコーヒーを購入したりすることが、「倫理的消費」(エシカル消費)だからです。
Google先生に聞いたら、NHKの解説委員室のサイトがヒットしました。「倫理的消費」について解説がありましたので一部を引用しながら記事にしておくことにします。
倫理的消費の分類
NHkの解説委員室サイトでは、「倫理的消費」を次の3つに分類して示していました。
環境への配慮
- グリーン購入
- 自然エネルギー利用
- エコマーク付き製品
- 有機農産物
- 国産材
- 車のレンタル・シェアなど
社会への配慮
- 障がい者の作った製品
- 製品の製造や流通段階で児童労働などの社会問題や環境問題を引き起こしていない製品(エシカルファッション)
- フェアトレード製品など
地域への配慮
- 地産地消
- 地元商店での買い物
- 応援消費など
環境に配慮したエシカル消費については、次のように解説しています。
環境に配慮したエシカル消費とは、日常、私たちは環境のおかげさまで生きているという自覚から、環境を思いやって消費するということです。環境に配慮した製品の購入はグリーン購入と呼ばれ、日本では20年以上の歴史があります。グリーン購入法やグリーン契約法などの法律も整備されて、政府やその関係機関はグリーン購入の義務を負わされています。地方自治体や民間企業にはグリーン購入する努力義務があります。社会へ配慮したエシカル消費としては、途上国などで児童労働などの社会問題や環境問題を引き起こすことなく生産された格好の良い服を購入するエシカルファッションなどがあります。地域へ配慮したエシカル消費としては地産地消や応援消費があり、2011年東日本大震災以降、応援消費が活発になっています。
持続可能な方向に社会を動かす倫理的消費
解説では、さらに次のような説明が続きます。
消費者は単に自己の利益だけでなく、国内のみならず国境を越えた他国の人々や、時間を越えた子孫のことまでも考慮した商品選択を行なうことが求められています。すなわち、製品の生産者である企業のみならず消費者にも環境配慮、社会配慮の社会的責任があると言えます。
大げさに言えば、製品を選択するその瞬間こそが、消費者が世界を変える瞬間なのです。市民が倫理的な消費を心がけることによって、従来より環境、社会、地域により配慮された製品が市場で競争力を持つようになり、社会を持続可能な方向に動かすことができるのです。
「製品を選択するその瞬間こそが、消費者が世界を変える瞬間なのです」という言葉には驚きますが、自然現象でもバタフライ効果という用語があるくらいですから、たとえが大げさすぎると笑うこともできないように感じます。
倫理的消費の歴史
倫理的消費の歴史は古く、倫理的消費者を意味するエシカルコンシューマーという雑誌は1987年英国のマンチェスターで発刊されたそうです。その使命は消費者の圧力で国際的な企業により持続可能な経営と製品提供をさせることで、そうした製品を積極的に購入することと、同時に倫理的消費にふさわしくない製品を購入しないボイコットという手段も選択されたということです。
倫理的消費についての批判
もちろん倫理的消費については批判的な意見もあります。NHK解説委員室のサイトでは、次のような批判を紹介しています。
消費者はアンケートには倫理的消費は重要だと回答するが、実行しているのはきわめてわずかであるとか、消費者の倫理的選択ではなく、法律によってのみ企業行動や消費行動を変えることができるという冷徹な意見もあります。
これに対して、解説では次のように反論しています。
市場に提供される様々な製品から、消費者の自発的な行動でより倫理的な製品が選択されていく社会の方が、技術革新を阻害せず、望ましいと思います。そのために倫理的消費のしやすい社会の形成が求められます。環境ラベルやエシカルラベルの信頼性の向上と拡大をはかるとか、インターネットで製品の倫理的品質の情報を容易に検索できるとか、社会制度の充実が求められます。
まとめ
消費者の一人として「倫理的消費」「エシカル消費」を今まで以上に実践できればいいなあと思います。ミニマリストやリノベーションといった言葉が注目されているのも、「エシカル消費」の考え方が少しずつ広がっていることのあらわれなのかもしれません・・・